
ベトナムコーヒーは非常に独創的なコーヒー文化

ベトナムのコーヒー文化の凄いところ。
それは
「ベトナム人が自分たちがコーヒーを飲むために作り上げた文化」
であることだと思います。
ベトナム人は本当に良くコーヒーを飲みます。
私は世界中を旅行した経験がありますが、ベトナムほど喫茶店が多い国を見たことがありません。
おそらく世界で1番「人口あたりの喫茶店数」が多い国だと思います。
試しに、私の住んでいる家がある小道に喫茶店が何店舗あるか調べてみました。
結果は500mの小道に18店舗です。
喫茶店として看板を出している店舗だけをカウントして18店舗。
屋台の様な簡易喫茶店を含めると軽く20店舗はありました。
これは驚くべき数です。
石を投げれば喫茶店に当たる。
そういっても過言ではないくらいの喫茶店がベトナムにはあるのです。
このように喫茶店の数から、ベトナムにおいてコーヒーを飲む文化が国民の生活に深く浸透していることがわかります。
しかもベトナムはコーヒーの生産量で世界2位です。
当然のことながら自分たちが飲むコーヒーを自分たちで生産しています。
自分たちでコーヒー豆を生産する。独自の焙煎技術でベトナムコーヒーを作る。そしてそれを自分たちで飲む。
ベトナムコーヒーは豆の生産から消費まで全てがベトナム人の手によって作られています。
なのでベトナム人の文化が強く反映され、ベトナムらしさが溢れるコーヒー文化となっているわけです。
コーヒー+ベトナムの「香り文化」
インドにチャイという飲み物があります。
スパイスを入れたミルクティーです。
イギリスから伝わったミルクティーですが、インドの文化であるスパイスと混ざり合うことで独自の文化を生み出しました。
私はベトナムコーヒーはこのインドのチャイと同じような進化の歴史を持っていると思います。
ベトナムにおいて、コーヒーはフランスから伝わりました。
その証拠はコーヒーフィルターにあります。
ベトナムコーヒーを淹れる際に使うコーヒーフィルターはフランス人が昔使っていたものです。
ベトナム人はこのフランスから伝わったコーヒーを、ベトナムの文化である「香り」をプラスすることにより独自の文化を生み出しました。
こうして出来上がったのがベトナムコーヒーです。
イギリスのミルクティーからインド人はチャイを創造しました。
それと同じように、フランスのコーヒーからベトナム人はベトナムコーヒーを創造したのです。
ベトナムコーヒーのフィルター


ベトナムにおいてコーヒーは1857年にフランスから伝来したようです。
1857年というのは、ベトナムはまだフランスの植民地にはなってはいないが、フランスが侵攻を開始したあたり。
そのあたりの時代です。
この当時にフランス人が使っていたコーヒーフィルターはベロイ式と呼ばれるもので、これが現在のベトナムコーヒーのコーヒーフィルターの原型になっています。
ベロイ式フィルターには現在のベトナム式コーヒーフィルターにつながる面影があります。
ベトナムは「香り」を大切にする文化を持っている

フランスから伝来したコーヒーにベトナムの文化である「香り」をプラスしたのがベトナムコーヒーである。
このように説明しました。
ではなぜ「香り」がベトナムの文化であるといえるのか。
以下にその考察を書きます。
ベトナム人が味覚の中で最も重要視している要素。それは香りです。
コーヒーを飲むとき、食事をしている時、この2つの場面でベトナム人は「良い香りがする」「悪い香りがする」という言葉を頻繁に口にします。
ベトナム語で「良い香りがする」と言うのはタム(thơm)と言いますが、タム(thơm)であるか、ないかがベトナム人にとって料理の味を決める最大のポイント。
食べ物にしろ飲み物にしろ、すべてにおいてタムかタムでないかで美味しさを判断しています。
このことはベトナムの料理番組を見ていると良くわかります。
料理番組の中で料理人は何度も何度も香りについて説明します。
- 下味をつける理由は香りを良くするため。
- このように焼く理由は香りを良くするため。
- 魚醤を追加するのは香りを良くするため。
このタムという概念はあえて日本語に翻訳すると「良い香りがする」という言葉になるのですが、実際にはより複雑なものを表していると思います。
というのも私はベトナム語を話すことができるのですが、ベトナム人がタムを使うシチュエーションと私が使うシチュエーションがなかなか一致しないからです。
料理を香りで評価するという習慣がない日本人にとって、ベトナム人のこういった感覚はなかなか理解できないもの。
当てずっぽうに「この料理は香りがいいですね」と言ってみても難しい。
的を得たような反応を得る事はなかなかできません。
香りにこだわるベトナム人が最も香りにこだわるのがコーヒー

香りにこだわるベトナムの食文化。
その影響を受けてベトナム式に洗練されていったフレーバーコーヒー。
それがベトナムコーヒーです。
実際、ベトナムコーヒー最大のメーカーであるチュングエンコーヒーの看板メニューにはなんと7種類ものフレーバーが準備されています。
同じブラックコーヒーであっても、全然違う香りのコーヒー。
それが7つもあるのです。
7種類のコーヒーの香りはどれも独特です。
飲み比べてみると面白いくらいの違いがあることに気づきます。
「ベトナムコーヒーは香りを大切にするベトナム人が生み出したコーヒー文化である。」
このような文化的背景があることを理解してから飲むことで、ベトナムコーヒーをより深く楽しむことができるようになるかもしれません。
ベトナムのハス茶

ベトナムはフレーバーティーで有名な国でもあります。
緑茶にハスの香りをつけたハス茶は特に有名。
香り成分を持つハスの花弁を集めて、その花弁を緑茶に混ぜて作るのがハス茶です。
ハスの自然な香りがついた緑茶はなんともベトナムらしい味わい。
日本茶にはない独特の魅力があります。